ここって!これって!本当にデートみたい…


結局あたしは 彼女にバレたらマズイ!としか言えなくて アタフタしていたら 那智は じゃ〜俺の行きたいとこに行く!と言って あたしの手を強引に引っ張り 歩きだした


で…着いた所は 水族館


普通にカップルが行きたい場所 ですよね…


彼女に悪い…なんて思ってたけど…那智が…あたしに向かって優しく笑うから…那智の手が離れないから


今日だけは ゴメンナサイ


夏休みだけあって すごく混んでいた 雛は小さいから逸れたら大変だと ずっと手を握っていてくれた


はっきり言って どんな魚がいたとか 那智とどんな会話したとか 全然覚えていない


ただ繋がれた手が熱くて でも嬉しくて…胸が焦げてしまうくらい熱い


悶々と自分の世界に入っていると 那智があたしの頭を優しく叩いた


『雛見て!』


那智が指さす方を見ると 水槽の中が まるで雪が降っているみたいになっていて ライトで降っている 白いものがピンク色になっていた


『綺麗…』


思わずガラスに手を当てて見入ってしまった


『マリンスノウ』


不意に那智が口を開く


『滅多に見られるものじゃないんだ。色んな条件が重なって出来る現象。まーこれは人工!』


ニッと笑って那智はあたしを見つめた