『ごめん!お待たせ!』


息を切らした那智があたしの前に座る


『全然大丈夫だよ〜。でもコーヒーは少し冷めちゃったかも…ごめんね…』


もう少し時間置いてから買えばよかったな…


『サンキューな?』


ポンポンと那智は優しくあたしの頭を叩く


このポンポンってしてくれる那智の癖…好きだなぁ


『雛聞いてるかー?』


『え?』


『だから〜。お前この後なんかある?予定』


『あ…何もないよ?後は帰るだけかな』


だって那智との約束の後に予定なんて入れる訳無い


『うしっ!じゃー行くか!』


『え?え?』


あたしの手を引っ張り喫茶店を出る


そのあとも那智はあたしの手を引っ張ったまま歩き出した


手!手〜!!

握られた手からドキドキが那智にまで伝わりそうで…しばらくあたしは何も話せなかった


しばらく歩くと那智が止まった 同時に握られた手が離れた


あ…手 離れちゃった…


じ〜っと離された手を見つめていると那智が あたしの目線まで屈み顔を覗き込んできた


ちっ!近いです!


『どした?ほらっ!着いた!』


目の前の建物を見上げた


『ここ…なんで…』


ビックリした


『雛行きたがってたじゃん?てか舞との会話盗み聞き?』

悪戯っぽく笑いながら那智はあたしの頭に手を置いた