定義はいらない

指を指された先の照明は

まさに「女性器」だった。



「たしかに…そうですね。」

「あれはそう見えるよな。」

「ワインの瓶とかも女性の身体をモチーフにしているって
 聞いたことがあります。
 人は潜在的に性的なものに惹かれるらしいですよ。」

「君、そういうの知ってるんだ。
 俺は潜在的にじゃなくても普通に惹かれるもんな。」

コーラを口に持っていきグビリと大きく飲む。

分厚目の唇が濡れる。


「君は彼氏とかいるの?」


太朗先生は目の下を垂らして興味津津に私を見て尋ねた。

「います。」

即座に答える。

「ふぅーん。」

特に彼に悪いとは思っていない反応。

「どれくらい?」

「三月からです。」

「へぇ。じゃあまだ一ヵ月じゃない。いいの?こんなことして。」

「こんなことって言っても何もしてないじゃないですか。」

そう言ってポンッと肩にタッチする。

まずかったかな、と一瞬思ったけど

もう遅い。


「これから起こるかもしれないよ。」


そう言って肩に腕を回された。