定義はいらない

「去年は松木先生たちの代がなんか出し物したんでしょ?」

「したよー。」

「何したの?」

「劇。」

「へぇ。」

「俺さ、『ラジオ体操挫折』っていう出し物を考えたのに
 周りに却下されてさ。」

「なにその『ラジオ体操挫折』って。」

「え?下ネタを取り入れたラジオ体操だよ。」

「くだらない。」

「くだらないだろ?で、同期に却下された。」

「まぁ、みんなが集まるんだから楽しそうじゃない?」

「そうかな。まあね。」

「あのさ、再来月あたり、また遊ばない?」

私は勇気を振り絞る。

断られたらどうしようって気持ちで少し手が震える。

「俺、もう長野は飽きた。」

「田舎だからね。」

「どっか行こう、名古屋とか。」

「名古屋城だね。」

「おっ歴女か。」

「城大好きなんだよねぇ~。」

「よし。前向きに考えよう。」

ワクワクした。

これで来月まで、私は生きていける。

本気でそう思った。