私はゆっくりとまたお湯に浸かる。

なんて幸せなんだと思う。

本当にちょっと前、4ヶ月前に私は不倫していて捨てられた。

今、新しい大事な人ができて

一緒にお風呂に入り今からともに寝る。

セックスがあるかは分からないけれど

なくても構わない。

ただ、今、松木先生といられたらそれでいい。

彼は私に新しい世界を開いてくれた。

2人に共通項があるわけじゃない。

彼は病院の御曹司。

趣味もバラバラで、会話の内容は仕事かエロトーク。

ルックスも好みなわけじゃない。

けれど、彼の自信家なところは私に新しい考え方を与えてくれた。

人間関係で何かが起こる度に

私の何が悪かったのだろう?と自己嫌悪に陥っていたけれど

今はそうじゃない。

松木先生が私に言った一言がある。

昔、彼女に振られたときのこと。

「それもさ、また『いとおかし』って思ったよ。
 だってさ俺をいらないって言ってきた人にどうしたらいいわけ?
 捨てた服は着ないから捨てたんだよ。
 そんな服に思いを残しても仕方ない。」

そんな価値観、私にはなかった。

彼の前向きな考え方は私を変えた。

彼は私の太陽だ。

彼がいなくなったら、私の人生はつまらなくなる。


「髪、ゆっくり乾かしていいよ。」

そう言って彼はジャージを置いて洗面台から出て行った。

早くしないと寝てしまう。

私は松木先生を追いかけて急いでお風呂から出た。