一緒にお風呂に入って身体を洗い合う。

「お前のこと調子にのらせるかもしれないけど、
 お前さ女として最高の身体してる。」

「え?」

「細いけど、出てるとこ出てる。」

「ありがとう。」

「嬉しいだろ?」

「うん。優しいね。」

「奴隷にはね。」

「私、奴隷だったの?」

「そう。」

「ねぇ、前から言おうと思ってたんだけどその『お前』って止めて。」

「なにそれ?」

「私、今まで誰にも『お前』って呼ばれたことないの。」

お風呂場に彼のボディーソープの匂いが充満する。

一緒に働いている時、いつもいい匂いがすると思ってた。

柑橘系のいい匂い。

コロンかと思ってたけれど違ったみたい。

また、松木先生に一歩近づいたようで私は幸せになる。

「じゃあ、何がいいわけ?」

彼は私の胸を執拗に洗う。

私は彼の自慢ばかりに泡を立ててしまう。

「杏子って呼んで。」

「分かった。できるかなぁ~。俺『お前』としか呼んだことないからな。」

また幸せになってしまう。松木先生の中で私が『初めて』があるなんて。

「よし、出よう。洗って。」

命令されて私は泡を流す。

彼はバスタオルに包まって私のジャージを取りに行った。