定義はいらない

「おじゃまします。」

病院の寮ってこんなに広いのかと思うと悔しくなる。

お風呂と洗面とトイレはもちろん別。

リビング兼ベッドルームとして使っている部屋は台所にもなっていて

12畳くらいか。

ベランダもついている。

それ以外にクローゼットとして使っている小部屋と

8畳の和室にもう1部屋フローリングの部屋がついていた。

そしてその最後のフローリングの部屋に入って驚いたことは

AVとエロ本が山積みされていたことだ。

「何これ?」

「あっそこに荷物置いていいよ。」

私の荷物はこうして

彼のコレクションの中に申し訳なさそうに置かれることになった。

「引いた?」

「いや、本当にすごいんだなって思って。」

「まっ俺、コレクターだからね。」

自慢気に言う。

リビングに行くとそこにはダブルベッドが置いてあり

目の前には50インチのテレビ。

真っ赤なソファに高価そうな音響設備。

「ラブホテルみたいだね。」

「だろ?」

なにが『だろ?』なんだか。

誉めてないのに。

「くつろいでいいよ。」

彼は早速服を脱いでジャージ姿になっていた。

私はテレビの前に置かれた山積みのAVとゲームをしげしげと眺める。

本当にガサ入れなんてする必要まるでなかった。