定義はいらない

「先生、太ったでしょ?」

「そうかな?」

「うん。」

「これでも走ってるんだけどな。」

「走ってるの?」

「朝。たまに。」

「へぇ。」

「あと筋トレしてるよ。」

「通りでね。二の腕太くなったなって思ったんだよね。」

「分かる?」

「分かる。」

「部屋に筋トレマシーンあるからね。」

「ほんとに?」

「わざわざ東京から持ってきたもん。」

「ほんとに?」

「ゴリマッチョ目指してるから。」

思わず噴き出しちゃう。

童顔だから全然似合ってないのに。

「ゴリマッチョって流行ってないよ?」

「うん。でも俺、中途半端は嫌なのよ。コアなとこは絶対ついてくるし。」

「確かにね。」

彼の自信に私は完敗。

反論など一つも出てこない。