「ほんとうよ。フランス人と日本人のハーフなの。ほら見て。瞳は日本人の黒よ」

ほんとうだ。シゲルは言った。

確かに彼女の瞳の色は黒だったが、とても日本人には見えない。
彼女に日本人の血が流れたのは、その瞳の分だけだろうと思った。

「ところで、ここは何屋なのですか」

「fleuriste。フランス語で、花屋という意味よ」

「へぇ」

僕には難しい話だ、と思った。なんせ僕は高卒だ。