「『はい』なら瞬きを一回してね。わかった?わかったなら瞬きをしてください」

そいつの目を見て、幼稚園児と話すように言った。

そいつはシゲルの顔をじっと見つめていたが、瞬きをしたのは七秒後で、理解していない、もしくは聞こえていないのだと分かった。

次に、シゲルは部屋からいなくなり、暫くしてそいつの真横に音を立てないよう、静かに座った。ここはやつの視線が届く範囲だ。

そして意味のない言葉を叫んでみる。

「あーー」

やつの視線がシゲルに向いた。

声は聞こえていた。
こいつは精神年齢が低いのだと分かった。