サンダルに履き替え、ベランダに出てそれに近付くと、シゲルは更に絶望した。

金色の艶々したツルはボールの中心から全方向に伸びていて、そう。それは人間の『つむじ』のように見えた。
ツルのように見えていたものは人間の髪の毛であったのだ。

初め、シゲルは直ぐにその考えを取り払い、まさか、とツルを掻き分けてみた。
すると、確かに人間の肌のようなものが姿を現したのだ。
シゲルは息を呑み、後退りした。

まさか。

植木ばちには、人間の頭が埋まっていた。
ちょうど額から下の位置くらいまで埋まっていて、つまり目や鼻は土に埋もれていて見えなかった。