「祐雫さんのドレスを見ていると、 春が待ち遠しくなって、 苺のジュースを注文していました。 空色の好きの祐雫さんには、 青空に輝く桜のイメージのように 今宵のドレスがよくお似合いです」 慶志朗は、祐雫の耳元で囁くと、 戻ってきた優祐に席を勧め、 麗華と琳子の手を取って席に着かせた。 祐雫は、苺の甘い香りに包まれたまま、 夢見心地で、音楽会の夕べを過ごした。