「優祐、よく、分かった。

 祐雫と一緒に音楽会を楽しんできなさい」


「ありがとうございます。父上さま。

 祐雫がとても喜ぶと思います」


 優祐は、肩の荷が降りた気分でほっとした。 

 
「ところで、優祐は、好きな女性はいるの」


 光祐は、気になって問いかける。

 優祐は、祐里に似て、心情を顔に出さない性格だった。


「ぼくですか。

 ぼくは、おばあさまや母上さまや婆やと

 素晴らしい女性が周りに居過ぎて、

 まだそのような気になれません」

 
 優祐は、光祐の問いかけに素直な気持ちで答えた。