祐雫は、試着室の鏡の中に頬を染める乙女を見つけた。


(祐雫とは違う祐雫……)


 慶志朗と再会した喜びが鏡の中の祐雫を美しく輝かせていた。



「優祐、いかがでございますか」


 試着室を出た祐雫は、椅子に腰掛けている優祐に微笑む。


「よく似合って素敵だよ、祐雫」


 優祐は、聡明な雰囲気を主張する如く、

青系の洋服を好んで着る祐雫の

違う美しさを発見した気がした。



 それと同時に

祐雫が少女から大人の女性に変化しつつあることを感じた。


 それは、ちょっぴり淋しくもあり、

また嬉しくもあった。


 優祐は、一途な祐雫の初恋に力を貸して、

応援しようという気持ちになっていた。