環は、優祐との至福の時間(とき)を

祐雫に邪魔されたのを根に持って、

優祐と祐雫が仲良く並んで帰って行く姿を

怒りに燃えた鋭い視線で見送った。



 環は、感じていた。


 男子には、興味がないにもかかわらず、

勉学に勤しむ祐雫の男子を惹き寄せる不思議な魅力を……


 祐雫には、透明な湖のように澄み渡る魅力があった。



 優祐と祐雫は、兄妹なので、焼きもちを抱く自分が可笑しいのだか、

優祐の優しさが祐雫に注がれるのには耐えがたいものがあった。



「優祐さま、環にだけ微笑んでほしいのに」



 環は、熱い想いで、優祐の後ろ姿を見送った。