「よろしければ、ドライブに少しお付き合いしていただけるかしら」


 麗華は、路上に停めた赤い車の扉を開けて、祐雫を手招きした。


「はい。華麗なお車でございますね」


 祐雫は、怪訝(けげん)な表情で、

麗華が開けた車の扉から、助手席に座る。


 麗華の車らしく車内は、薔薇模様のビロード製で、薔薇の香りに包まれていた。


 麗華は、運転席に座ると同時に無言のまま猛スピードで車を発進させた。



「麗華さま、何かございましたの」


 祐雫は、訳が分からずに麗華の横顔を窺(うかが)う。


 麗華の美しい横顔は、祐雫への嫉妬心で上気していたのだが、

その紅色が麗華の色白の肌をなお美しく強調していた。



「ええ、いろいろと」


 麗華は、車のハンドルを握り締めた。