「……あ、ありませんよ」 数秒遅れて返事をした高岡さんに、本当ですか?と宮間さんが再度訊く。 「あるわけないでしょう!何なんですか!」 高岡さんが苛立つ。 「では、失礼」 高岡さんを押し退け、宮間さんが部屋に入り、ドアの陰に居た東屋さんもそれに続く。 「ちょっ待て!──入るな!!」 その2人を高岡さんが鬼のような形相で追いかける。 高岡さんの後を追いかけてあたしも部屋に入り、小泉さんも入ってくる。 状況を呑みこめていないであろう空木さんもついてくる。