エレベーターを使わず、階段で3階まで駆け上ると、高岡さんの部屋の隣から知らない男性が出てきた。 その男性が高岡さんの部屋のチャイムを鳴らす。 それを見て、東屋さんが男性に声をかける。 「すみません。どうかなさいましたか?」 「あ、ここに住んでる方ですか?」 「いえ。ここに用があって」 「そうですか。……壁を蹴る音がうるさいので、注意ついでに挨拶を済ませてしまおうかと」 挨拶、ということは、この人がこの間、高岡さんが言っていた新しく引っ越してきた人か。