舞ちゃんが所員さんの方に向き直る。
「1週間、ご実家でゆっくりしてきてください」
東屋さんが笑って言う。
「一度、マンションに戻った方がいいですよね。その後、駅まで送ります」
「え、あの……」
「もう暗いですし、女性を1人で歩かせるわけにもいきませんからね」
「……お願いします」
舞ちゃんを頷かせてから、東屋さんがあたしの方を向く。
「高杉さんも、ご両親が心配されますよ。一緒に戻りましょう」
東屋さんがソファーの背凭れにかかっていたアウターを取り、立ち上がる。
「え……あぁ、そうですね。お願いします」
お母さんは夜勤でいないし、お父さんはあたしが小さい時に離婚してるから今日は心配する人いないんだけど。

