「そうですか、ありがとうございます。では――」


宮間さんが続けようとしたところで思い出した。


「そうだ!『雰囲気イケメン』だ!」


そう叫んだ瞬間東屋さんが飲んでいたお茶を、右隣にいた小泉さんに向かってぶふっと噴き出した。


「……莉央……」


物言いたげに小泉さんが東屋さんを見る。


「ご、ごめっ……だって……いきなり……」


笑いを堪えながら東屋さんが言い、箱ティッシュを小泉さんに渡す。


そんな東屋さんを見てため息を吐き、『失礼しました』と一言謝って宮間さんが続ける。


「東屋を彼氏役として、大森さんに付けます。帰りは大森さんの会社の方に迎えに行かせますが、よろしいですか?」


舞ちゃんが頷く。


「どちらの会社にお勤めになっていますか?それと、何時ごろ仕事は終わりますか」


舞ちゃんが自分が働く会社の名前を言うと、九条さんがパソコンに何かを入力して、東屋さんと宮間さんに画面を見せる。


「仕事は17時に終わります」


「解りました。ではその時刻までに会社に着くようにします。残業などが入った場合はこちらに連絡してください」


笑いを収めた東屋さんは舞ちゃんに名刺を差し出した。