家に帰り、カバンを自分の部屋に投げ込んでお母さんの寝室でもある和室の、お姉ちゃんの仏壇の前に座る。


「お姉ちゃん、あたし探偵事務所でバイトする事になったよ」


写真の中で幸せそうに笑うお姉ちゃんを見る。


「……あたしが宮間探偵事務所に行った日にね、副所長さんの莉央さんが、『困っている人を助けるのが仕事』って言ってたの。あたし、警察じゃなくて探偵を頼ればよかったのかな……」


そこまで言って、宮間探偵事務所に行くまでの経緯を思い出した。


「……やっぱダメだな。あたし、中2だったもんな。今でも門前払い食らったのに……」


2年前の事を思い出して、暗くなった気分を振り払うように首を振る。


「まあ、そんなワケなんで、バイト頑張るね!」


そう言って、遅めの昼食を準備するためにキッチンに行く。


小学校の教師を目指してたお姉ちゃんに、勉強も頑張りなさい、って言われたような気がした。