「ご両親や学校の許可は?」
「お母さんには、今日、バイトすることになるかもしれないって言ってあります。学校は、ウチ、母子家庭なんで、ちょっとくらい融通きくと思うんで」
東屋さんは確信犯か、と呟き、宮間さんは小さく溜息を吐く。
宮間さん溜息吐いてばっかだな。……あたしが悪いんだけど。
「じゃあ、改めて自己紹介するね。宮間探偵事務所副所長、東屋莉央です」
「小泉学です。よろしく」
小泉さんは笑顔を浮かべ、握手を求める。
それに応え、よろしくお願いします、と言う。
「九条潤佳」
今日は私服の九条さんが長い前髪で半分以上が隠れている顔をこちらに向ける。
「よろしくお願いします、九条さん」
「潤佳でいい」
「じゃ、潤佳ちゃんって呼ぶね。あたしの事も名前で呼んで?」
潤佳ちゃんはこくんと頷く。

