玄関ではなく、屋上についてしまった。
 
「はぁ………」
 
思わず、自分にため息をつく。
 
 
「……ッ……………せえッ」
私の反対側の方から、物音がする。
誰かいるようだ。
 
気になった私は、そっと覗いてみた。
と。そこには。
 
 
「やっ……祐聖、そこは…だめっ……」
「鈴音……可愛い」
「……ンッ」
 
服がはだけて頬が蒸気している…川原鈴音(かわはら すずね)ちゃんだっけ?……あの可愛い娘と、それに覆い被さる黒澤が、なにやらイケナイことをしている模様。
 
「…………ッ!?」
 
とっさに身を隠す。
二人が夢中になってて気付かれずにすんだが、早くここから脱出しなければならない。
 
ダッシュで逃げようとするが、運悪く、ドテーンと思い切りコケてしまった。
 
「お前、そこで何してんの?……て、アレ?白宮!?」
 
「いったたたた…………!」
 
見つかってしまった私は、歩み寄ってくる黒澤から逃げようとするが……。
 
 
足が動かない。
 
 
(こんな時に足くじくとかなしでしょ!?)
 
と、足に言い聞かせても、ちっとも動いてくれない。
 
しかし、どんどん黒澤は近付いてくる。