ガバッーーー
まだ歌の途中だったのに、彼は、いきなりあたしを抱きしめてきた。
「えっ…えっ、えっ!?」
「お前に決めたから」
いきなり抱きしめてきたかと思えば、今度はワケのわからないことを言い出す。
「なっ…にがですか?」
ドキドキして…上手く喋れないよ…。
「俺はお前が欲しい」
「へっ!?」
そう言うと、抱きしめてくる腕の力が強くなった。
ーーーかと思えば、いきなり手を緩めてあたしの顔を見つめてくる。
あたしを見つめる、真剣な瞳。
それに惹かれるように、あたしも彼の瞳をじっと見つめた。
すると突然、あたしから目を逸らし、手で顔を覆った。
「あんま見つめんなよ…」
自分から見つめてきたくせに、あたしには見つめるなと言う。
なにそれ!?って思うのに、彼に照れたような顔でこっちを見られた瞬間、何も言えなくなった。
そんな顔で見ないでよ…。
よくわからないけど、胸がきゅうってなって苦しい。
ドキドキが鳴り止まないよ…。
