キラキラな人のことを考えて、自分の中で決意を固めていたら、いつの間にか終わっていた入学式。



「ーーー芽、優芽!」

「ーーーえっ!?」

「もう入学式は終わり。退場するよ!」

「…もう終わったの?」

「とっくにね。優芽が違う世界に飛んでいってる間に」



どうやらあたしが見惚れて胸がいっぱいになっている間に入学式は終わっていたみたい。



そんなあたしに声をかけたのが親友の瀬良 愛未(セラ メグミ)だった。



慌てて立ち上がり、前の人の後を追って退場した。



「ねぇ、さっきの軽音部の人カッコ良かったね!」



体育館を出てしばらく歩いたところで、後ろを歩くメグに声をかけられた。



「そうだね!あたし…あの人とバンド組む!! だから、軽音部に入るって決めたんだ!」

「えっ!? 本気!?」

「本気だよ!! 今日初めて会った人だけど、“この人だ!!”って直感で思ったの!」

「…そっか! いいなぁ…。あたしも優芽と一緒にバンドやりたい…」

「えっ? もちろん一緒でしょ!? 当たり前じゃん!! …っていうか、まだ一緒に組めるかわかんないけどね♪」

「あははっ! それもそうだ!!」



そんな会話をしながら教室までの歩いていたあたしとメグ。



照れくさいから、口に出して言わないけど。



“あたしも優芽と一緒にバンドやりたい”ってメグが言ってくれたとき、すごく嬉しかったんだよ。



他愛もない、些細な会話だけど、嬉しかった。



自分のことをそんな風に思ってくれる人が居るって幸せなことなんだよ。