「…って、サイテーなのは俺か…。」
はぁっ。と息をはき出す。
それは白い蒸気となり、漆黒の空へと吸い込まれて消えた。
今年の夏、大学の友だちであるトシに紹介され、俺は香代(カヨ)と付き合った。
かなりの美人で、最初会った時は正直ビビった。
『な、なっ?言った通り美人だろ?俺のバイト先の先輩の知り合い。お前のことが好きなんだってよ〜!こんの色男〜!』
わざとらしく肘で脇腹をつつかれた。
トシの冷やかしはうざかったけど、こんな美人が俺を好きだって言ってくれるのは、素直に嬉しかった。
『でも…何で?俺、この子のこと知らないんだけど…。』
『あ、それは…』
『ば、バイト先で…!!』
『…え?』
『―…っあ、あの…神谷さんのバイト先で…その…見てから、えっと……。』
『そうそう。そんでまぁ色々あって俺に伝わって、お前だってわかったわけ。つまり一目惚れってこと!な、香代ちゃん?』
トシの問いかけに、香代は顔を真っ赤にして何度もうなずいた。
きれいな見た目のわりに可愛らしい振る舞いで、そのギャップにちょっと驚いたのを覚えている。
