「うわっ、さっみー!!」



店の外に出た瞬間、身を切るような冷たい風が通りすぎていく。


ブルッと一瞬にして身が縮こまった。




今日は12月24日。


世間で言うクリスマスイヴだ。


街はいつもとは違う色で輝き、街を行く人々は寒さの中その輝きに魅せられ足を止める。


もちろん8割強がカップルだ。



手を繋ぐカップル。

腕を組むカップル。

身を寄せ合うカップル。


カップルカップルカップル……。



「ちっ。クリスマスをカップルで過ごすなんて誰が決めたんだっつーの。」


つうか今日まだイヴだし。

クリスマスは明日ですよー皆さん。

全く…なんで日本人はこう前夜祭が好きなんだろうかねー。




「……」


って、俺…完全ひがみなんだけど。



別に今の日々が幸せってのは嘘じゃない。

けど…。


まぁ、彼女がいればさらにあれだよなぁー…なんて考えるのは、たぶん俺だけじゃないと思う。



「…でも、まだ別れてから1ヵ月ちょっとだもんなぁ。」


別れてすぐ違う人にいくほど、俺チャラくないし。

なりたくもないし。



てかこう見えて俺、意外と一途なんだぜ?



「……」


なーんてホントさっきから一体誰に向けての心の叫びなんでしょうかねーはっはっはー……あぁ、我ながらイタイ…。





なんだか無性にむなしくなって、足早に街をあとにした。