「ぷっ、顔赤くなってる。かーわーいーいー。」
「〜っ…(怒)(怒)」
だ、ダメだ…。
コイツと話してると、謎の頭痛に襲われる。
「じゃあせめて、大家さんとこ行け。」
「大家さん?」
「1階でパン屋やってる佐々木さんってゆうんだけど、ここの大家さんなの。」
佐々木さん夫婦は、ここの3階に住んでいる。
こんな時間に申し訳ないけど、佐々木さんなら話せばきっとわかってくれるはずだ。
「だから起きろ。」
「やだ。ここがいい。」
「ダメだって。起きろ!」
「いーやっ!仁のバカ!」
「なっ…!」
ば、バカってなんだよ!
千里はもう聞かないと言わんばかりに、布団の端を掴んで顔まですっぽり隠れてしまった。
ったくもー…。
どうしたもんか、このワガママ娘は…。
今になって疲れが出てきたらしく、「はぁ…」とため息が自然ともれた。
千里は布団にもぐったままで、俺に背中まで向けやがった。
もうコイツに何言っても出ていかないだろう。
手荒な事してほっぽり出すのもなんだか気がひけるし…。
