飲み始めてから30分。
なぜか沈黙が続いている。
コイツが『飲みながら話す。』って言うから出してやったのに、口を開く気配が全くないのはどうゆうことだ。
つうかコイツ、本当に話す気あんのか?
本当はただ飲みたかっただけなんじゃねぇだろうな。
話そらすために『酒。』って言ったんじゃねぇだろうな。
ついに痺れを切らした俺は、自分から口を切ることにした。
「あのさぁ、お前話す気あんの?」
「え、なにが?」
なにが?って…やっぱ話す気なかったのかよコイツめ!!
「お前、いい加減にしろよ?そろそろ俺もキレるぞ。」
「…だって…。」
「だってなんだよ?」
「だって、なんかフェアじゃなくない?」
「はぁ?」
あー…
意味わかんねぇよもう…。
ため息をついて頭を抱える俺に、千里は指をさして言った。
「あたし、あんたの名前もなんも知らないよ?あたしは教えたのに。それなのにあたしのこと全部話すって、全然フェアじゃない。」
