「よし、わかった。警察には連絡しない。その代わり、話せることは全部話してもらう。」
午前1時すぎ。
1時間以上も泣いてから、ようやく彼女は落ち着きを取り戻した。
目はウサギみたいに真っ赤だけど、あの瞳にうつっていた不安はいつのまにか消えていた。
「とりあえず、名前は?」
「せんり。『千』に『里』で千里。」
「へー…千里ね。名字は?」
「え?………さ、佐藤…?」
何で疑問系なんだよ。
「…んまぁ、名字はいいや。何歳?」
「14。もう少しで15。」
「へー、じゅうよ…はぁっ!?」
「なっ、なに?」
急にぐっと顔を近づけた俺から遠ざかるように、千里は少し後ずさった。
詐欺だ。
完っ全に詐欺だこれは。
この顔と体で14才だと?
ってことは……まだ中3だと?
おいおい最近の中学生はどうなってんだよ一体!?
「待て。本当に14か?」
「何で14才って嘘つかなきゃなんないわけ。嘘つくんなら20歳って言ってるから。」
たしかに…それもそうか。
でも俺、こいつに20歳って言われても嘘だって見抜けねぇ自信がある。
つうか…むしろ20歳前後だと思ってました…。
