「な、泣くなよ。…怒鳴って悪かった。」
「うぅっ…」
「でも俺は、俺の言ったことを間違ってるとは思わない。お前のやってることはよくないよ。でも…だからと言って、関係のない俺が、お前の生き方に口出しはできないのも確かだ。」
「…ううっ…っ…」
「けど…けど、慣れてるなんて、そんな悲しいこと…言うなよ…。」
「っ…?」
「傷つくことに慣れるなんて、そんなのあり得ねぇよ。お前、本当はどっかで傷ついてんだよ。でもお前は、自覚するのが怖いからってそう思い込んでるだけなんだよ。」
苦しかった。
辛かった。
俺の心が。
彼女がどんな痛みを経験してどんな傷を負ったかなんてわからない。
けど、その辛さと苦しさは嫌でも彼女からひしひしと伝わってきて。
俺は無性に、泣きたくなったんだ。
「だから慣れてるなんて言うな。簡単に体を売るなんて、言うなよ……。」
彼女は涙がたくさん溜まった大きな瞳を、更に大きくした。
「ど…して…どうしてそこまで、言ってくれるの…?」
「…わかんねぇよ。ただ…お前見てると、こっちまで辛いんだよ。苦しいんだよ。」
「なにそれっ……」
「だってお前、俺にうったえてんじゃん。」
「…え…?」
「『助けて』って。」
「っ…―!!」
そして彼女は
「うっ…あぁ、あっ、うっ…ううっ…」
泣き崩れた。
理由なんてわからない。
見ず知らずの女になんでこんなにも必死になるのか。
でも、こんなに苦しそうで、必死に助けを求めてるやつをほっとくなんて、そんなことできねぇだろうが…。
