我慢できなかったんだ。
「…に言ってんだよお前はっ!!!!」
ビクッと頬を押さえる彼女の肩が揺れた。
「お前自分が何言ってんのか本当にわかってんのかよ?自分がどんだけバカなこと言ってんのかわかってんのかよ!?」
「…ってる…わかってるわよ!」
「だったらなおさらふざけんなっ!!!」
ダアァァン!!!!
怒りに任せてテーブルを叩くとマグカップが倒れた。
俺のカップからはコーヒーがこぼれて、白い絨毯を茶色く染めた。
「何でそんなことが言えんだよ…?好きでもない…名前も何も知らない見ず知らずの男に、何でそんなこと言うんだよ!!!」
「だってっ…」
「そんなことして、体をぼろぼろにされてもどんな目にあっても、お前は何も言えねんだぞ!?後悔するのはお前なんだぞ!?傷ついて苦しむのはお前なんだぞ!!?」
「だからわかってるわよっ!!」
「わかってんなら何でだよ!!!」
俺にはわからない。
なぜ傷つくのをわかっていて、自らその痛みを招こうとするのか。
わからない…。
それは、俺が男だからなのだろうか…。
