時間が時間だったし、あの寒さの中にほっとくのはどうも気が引けて、とりあえず俺は彼女を家につれてきた。
次の日死体で発見されても困るし。
寒いから俺の部屋に入るかと聞くと、知らない男にそんな風に言われて、もっと訝しげな顔をすると思っていたのに、彼女は案外すんなりとついてきた。
正直ちょっと驚いた。
もちろん俺は良心から言ったわけで、別に変な意味じゃないんだけど。
彼女は、抵抗感とかないんだろうか?
つうか今の女の子って、見知らぬ男に声かけられてもホイホイついてくもんなのかな?
「コーヒーもっと飲む?」
空になったマグカップを見て聞いてみた。
けど、彼女はただ首を横に振っただけ。
はぁ…。
いい加減疲れてきた。
「なぁ、別に喋れないわけじゃないんだろ?なんでなんも言わないわけ?」
「……」
「俺、さっきから質問してんのに一つも答えてもらってないんですが。」
「……」
「もしもーし。聞こえてますかー?なんで無視すんだよって聞いてるんですがー。」
「……」
はぁ…応答なし。
もうだめだねこりゃ。
