廊下の窓の隙間から
生温い風が入る。

もう少しで梅雨がくるから
湿度が高く気持ち悪い。

そんな中でもいつもより早く
登校してきたあたしは気分が良かった。

今日は遅刻しないで来れた。

成瀬先生に褒められたりして…

なんてあるはずもないことを
考えてみて頬が緩みそうになった時、

真由「おはよ、遥香。」

遥香「お、おはよ。」

真由「何?
   なんか変なことでも考えてたんでしょ?」

…真由には全て悟られるから怖い。

遥香「そんなわけないでしょ、ハハ。」

真由「ったく成瀬が好きだからって…「成瀬センセー‼」

真由の声が甲高い声に消された。

またか…。

「おはようございまーす♪」

「先生寝ぐせついてますよ?かわいー♥」

語尾に音符とかハートが付きそうな
話し方をしてるのは成瀬先生の追っかけみたいな軍団。

成瀬先生が私たちの学年の4階に
来るたび騒ぎ出す。

…って先生近くにいるの!?

360度見渡すと結構近いところにいて
心臓が高鳴った。

真由「あー、うるさい。
   あいつら何なのかねぇ…
   成瀬はアイドルかっつの。」

確かに顔はアイドル並み
…いやそれ以上かもしれない。

本当に整った顔立ちをしている。

真由「遥香気を付けなよー?」

遥香「な、何を?」

真由「あんた結構成瀬に補修してもらってるじゃない。
   あいつらに目ぇつけられたら
   やっかいなことになるからね。」

遥香「そう…なのか。」

確かに成瀬先生と噂になった同級生も
呼び出されて大変だったって事を聞いたことがある。

ただの噂なのにね…。

気をつけなきゃ。