見上げると青い空に白い雲


まだまだ続く坂道に舞い落ちる桜の花びら


気持ちいい春風



「…う~ん!なんてすばらしい春日和!」


あたしは、ぐっと伸びをする。


・・・


あたし、桜山 唄(さくらやま うた)16歳は、

今年の春 高校生になった。


不安と期待で胸がいっぱいなあたしは
ドキドキしながら、友達と一緒に
この坂道を上って学校へと足を進めた。

「唄~、唄は髪染めなかったの~?」

と、あたしに話しかけてくるこの茶髪の女の子は

宮内 菜緒(みやうち なお)。

小学校からの付き合いなの。まあいわゆる
心友ってゆうやつかな(笑)

「染めるわけないじゃん!あんた、
入学式初日から先生に怒られるんじゃないよ(笑)」

とあたしは菜緒をからかう。

「怒られないっしょ!唄こそ、入学式初日から
ギャーギャー騒いで目付けられるんじゃねーよ(笑)!」

「だーいじょうぶ大丈夫!」

あっはっはは…

と、あたし達は笑う。


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―――――……


着いたっと…


サアアー…


あたし達の前を春風が横切る…

ここ S学院高校 は 結構学力が高いと
言われているエリート校且つお嬢様おぼっちゃま校。

公立中学から来ているあたし達は、
はたしてついていけるのか…

とはいえ、あたし達のような立場の生徒が
山ほどいることは確か。

なんせ、ここ昨年まで高校から大学までのエスカレート校だったしね。

まあ、今年の春からあたし達が高校入学するのと同時に
新中学生も入学するとか…。