神 =ねぇ、お前。あの少年は、如何した?

閻魔=はい、神様。
   申し訳ございません、ご報告もせずに。
   やはりのことに、
   等活地獄行きも致し方のない仕儀かと、心得ます。
   如何なる事由があろうとも、
   自ら生命ちを断つことは許されざることにございます。

神 =そうよのう・・。
   しかし少年の罪を、一等減じさせることはできないものかね。
   ひと言囁いてくれないか?

閻魔=恐れながら、それは致し兼ねます。
   そもそもこの定めは、
   神様、あなた様がお作りになられたことです。
   「己の罪は、己が一番良く知っておる。
   しからば、その罰は己に決めさせよ。」

閻魔=俗世界での汚れをこの天界で落とし切らねば、
   転生した折に、又辛い日々を送らねばなりませぬ。
   それは皆、重々に承知しておる筈。
   それに天界において己を偽ることの愚かさを知らぬ者は、
   誰一人としておりませぬ。

閻魔=お願いがございます。
   これより後、
   子どもらに対する大人の逆襲が起きないかと、危惧しております。
   そうなる前に、どうぞご慈悲を持ちまして、
   救済の道をお示しいただければと思います。

神 =うむ、しかしのう・・。
   わしの示す道を、曲解する者が出てくるのじゃ。
   意図してのことか、それとも無知ゆえのことか・・、のう。

閻魔=ほんに、左様で。
   実は今、人間界はとんでもないことになっております。
   わたくし実のところ、亡者どもの整理に忙殺されております。