「あぁ。」
「女を演じることが出来るのかしらね?」
――瞬間、負けず嫌いな俺は、
「それくらい楽勝だし」
と言った。
そうだ、楽勝だ。
女になりきってやる。
何故か熱いものが込み上げてきた。
「あ、あと―――女の子を好きになっちゃダメよ?」
は?
「嫌いなままでいいってこと?」
「違うわ。1人の女の子を好きになっちゃダメってこと。」
「ふーん」
まあ、そんなことないだろうけど。
「襲うのもダメよ?」
母さんがニヤリと笑った。
「襲わねーよ」
俺は口を尖らせて言った。
男なのに女の体に興味を持ったことがない。
周りの男子は当たり前のように興味がある。
おかしいのか?
…いや、ただ単に女が嫌いだからだよな。

