「そうですか。おめでとうございます」 そう言って、先生は優しい笑顔を向けた。 「実はね、まだ心臓の確認が出来てないの。来週、もう一度来てちょうだい」 「はい。分かりました」 洸輝に何て言おう。 喜んで、くれるかな。 嬉しさよりも、不安の方が大きくて、ドキドキする。 思いがけない妊娠に、あたしはすっかり、美由の事を忘れていた。