トントン…

私の部屋のドアを軽く叩く音が聞こえた。

ガチャン

ドアをゆっくり開けて入ってきたのはお母さんだった。

「お母さん…どうしたの?」

「どうしたのはこっちのセリフですよね?」

もしかして…
おこってる?
遅い時間まで外出してたから…
もう時計は、10時を指していた。

「ごめんなさい…」

まずは謝ろう。
門限を破っちゃったし…

まぁ、気がついたらベッドで寝てたんだけどね。

「まずは1つ質問に答えてくれる?」


謝ったのにまだまだご立腹のようだ…

困ったなぁ。

「はい…なんですか?」

「さっきのイケメンは、誰?」

さっきのイケメンって誰?誰のこと?

頭に『?』を浮かばせて首をかしげていると、
お母さんは、いきなりニコッとして、

「も〜、さっきなのはをお姫様抱っこをしてうちまでつれてきてくれたイケメン君のことよ!」


お母さんはイケメンに弱い。

うちの学校は、イケメンが多いからどのイケメン君か、わからないけど、お姫様抱っこをしてうちまでつれできてくれた人は…

あいつしかいない…


一ノ瀬 亜綺羅

私のバスケ人生を踏みにじったやつ。

許せない…
一度でも心を許した私がバカだった。