「うっ…ヒック…あたしの…ファーストキス…あんな奴に…っ」


宗太郎はどう思った?

いつも通りに何も思ってないの?


ねぇ…宗太郎。


「泣かないでください」


そう言って手を離し、椅子から立ち上がった。


あーそっか…それだけだよね。

ズキンと胸が締め付けられる。


ギイッ


宗太郎の右手があたしの顔の横に置かれて、左手は優しく涙を拭ってくれた。


一気に顔が近付いてきたと思ったら、唇が軽く触れた。


「俺も…ファーストキスです」


はにかんだ笑顔を見せて、そのまま宗太郎は部屋を出て行った。