「もー…最悪」


アイツが帰った後、すぐに部屋に戻ったあたしは、ベッドからもう起き上がれない。


いきなり婚約者を見付けたとか言われてムカついて。

その婚約者はありえないレベルの最低野郎で。

その最低野郎に、宗太郎の前でキスをされた。


何度考えても、事実は残酷だ。




コンコン


「由良さん、少しいいですか?」


ノックの音と共に聞こえたのは、大好きな宗太郎の声。


「いいよ…」


「失礼します」


宗太郎の顔を見ただけで、こんなにドキドキするのは、きっとあたしだけなんだろうな。