「今、志郎から連絡が入った。他のやつらも片付いたらしい」

赤色の男の言葉に、銀色の男は頷いた。

「いくか…。一文字」

「ああ。本郷」

2人は、和幸と真理亜に頷くと、そのまま壁の向こうに消えた。

「俺だけのやり方か」

和幸は口許を緩めると、真理亜に背を向けた。

そして、歩き出した和幸に、真理亜はきいた。

「あなたの名前は?」

和幸は、空を見上げ、名を久しぶりに口にした。

「天上和幸」

「天上和幸…」

名前を確認した真理亜に、後ろ手を上げると、和幸は地面を蹴り、資材置き場の向こうに消えた。


「え!ち、ちょっと!天上和幸!」

名前を呼んだが、再び…真理亜の前に、和幸が戻ってくることはなかった。

「馬鹿…。お礼も言ってないじゃないの」

真理亜は頬を膨らますと、空を見上げた。

「今のあたしが、できることは」

そして、これからを考えて見た。