「我々の邪魔をするやつら!旧型でありながらも、我々の同胞を倒すその力の謎を解明しなければならない!」

スーツの男は、ゆっくりと近付いていく。

「やつらによって、お前達の設計図は破棄された。故に動く見本が必要なのだよ」

「くそ!」

浮浪者は、真理亜を庇いながら後退った。

(勝てない…逃げなければ)

そう思った時、真理亜の腕の中で子犬が鳴いた。

「我々がこの国を守る為!いや、いづれは世界を守る為の!礎になれ!」

「よしよし」

危険に晒されながらも、子犬を撫でる真理亜。

2人の間にいる浮浪者…いや、和幸は覚悟を決めた。

(死ねない体。俺は、死にたかった。なのに、逃げていた。化け物になっても、死ぬのが恐かった。だけど)

和幸は、ベルトを開き、風車を回した。

(心まで、化け物にはなりたくない)

和幸は、覚悟を決めた。

(今日は…死ぬにはいい日だ)

自然と顔が、微笑んでいた。

「え」

真理亜は、眩しい光に目を細めた。

「いくぞ」

和幸は、何年ぶりに前に進んだ。

「ばかめ!旧型が!」

スーツの男の姿も、変わった。

「バッタ…」

真理亜は、その異形な姿に身を震わせた。

「旧型のバッタ男が!ニューホッパーである私に勝てるか!」

地面を蹴り、和幸に蹴りを喰らわせた。

それだけで、和幸の皮膚がめくれ、内部の機械が剥き出しになった。

「くそ!」

和幸は、拳を突きだした。

ニューホッパーは逃げない。

「うおおっ!」

次は蹴りだ。

しかし、無防備で全てを受け止めたニューホッパーの体には傷一つつかない。

「やはり、旧型!大したことはない!」

ニューホッパーのパンチで、ふっ飛ぶ和幸。

「なぜ組織は、こんな旧型にこだわるのだ!私がいれば、やつらなど簡単に破壊してやるのにだ」

ニューホッパーは、天を仰いだ。