天神学園高等部の奇怪な面々ⅩⅣ

いつになく満開に桜が咲き誇ったその年。

一匹の猫が天神に迷い込んできた。

人の姿を借り、優雅に瓢箪の酒を呷りながら、ゆるりと散歩していた花王は、その猫に着流しの裾を引っ張られ、告げられる。

「手を貸せ、主が死にそうなのだ」と。

…猫は、既に長い年月を生きて妖力を得た物の怪だった。

天神は数多の存在が集まる土地。

猫の物の怪がやってきたとて不思議はない。

しかし、主が死にそうとはどういう事か。

導かれるままに、花王は猫についていく。