天神学園高等部の奇怪な面々ⅩⅣ

そして初めて花を咲かせた年。

住人達は、その美しさに息を呑む。

新参者がやって来て、己らの住処に勝手に木を植えた。

そんな狭量な考えさえ忘れた。

咲いて散る、桜の花。

その華の香漂う光景に、荒んだ心が洗われた。

…その年を境にして、若き桜に手を貸す者が現れた。

『桜ってのは、いいもんだな』

照れ臭そうに呟く、かつての怨敵の顔。

若き桜は今も忘れる事はない。