人差し指を口元に当てる教頭。

言われるままに、鞠子は続けて生徒達の話を聞く。

『でも、マリー先生の授業は分かりやすいし、質問したら納得するまで丁寧に説明してくれるし…何より私達に親身になってくれてるのが伝わってきて、好きだなぁ』

無口少女の意見に、一人第三次世界大戦も頷く。

「頑張ってます!っていうのが理解できるから、好感が持てるよね。きっと本人はドジ踏んでばかりで、みんなに意地悪されてるって思ってるんだろうけど…嫌いな先生にはあんな風にからかったりしないもん。人気者だからこそ、イジられるんだよねぇ」

「……!」

鞠子本人の前では決して語られる事のない、生徒達の正直な声。

「貴女が思っているほど、生徒達は貴女の事を悪く思ってないのよ?マリー先生」

教頭の言葉に。

「お、おばぁ…」

眼鏡越し、鞠子はジワリと涙を浮かべる。