天神学園高等部の奇怪な面々ⅩⅣ

とはいえ、自転車の二人乗りは禁止。

危ないのでやっちゃ駄目です。

理事長と良い子のお約束。

という訳で。

「あ、あのっ、二人乗りは危ないから…」

遠慮がちに呟く鞠子。

しかし声が小さい、か細い、聞こえない。

結果。

「え?何てぇ?」

不幸福姉妹は訊き返しつつ、そのまま二人乗りで鞠子から遠ざかってしまう。

「だ、だから、二人乗りは、危ないからっ、そのっ…」

もう一度言うも、既に不幸福姉妹は彼方。

教師の威厳も何もあったものじゃない。

完全に無視された形の鞠子を、クスクスと笑う周囲の登校中の生徒達。

「うぅっ…」

恥ずかしさに、眼鏡が曇るほど赤面する鞠子だった。