「送り返すのですか?」

愛らしく小首を傾げるメアリアン。

その手には、鎖鉄球。

直径1メートルはあろうかという棘付きの巨大な鉄球のついた太い鎖を、彼女は何と片手でぶら下げていた。

華奢な体に不似合いな凶悪な武器。

そのアンバランスさが恐怖を誘う。

「小岩井お兄様…できない事は仰るものじゃありません…」

花びらのような唇から、優しげな言葉が紡がれる。

「結界や障壁、金縛り、憑依…小岩井お兄様の能力は、専ら『防御』や『攻撃補助』に特化したものばかりではありませんか…防ぐばかりの能力で、私は送り返せませんよ?ふふふふっ」