その刃を。

「…………」

小岩井はまともに浴びていた。

浴びていながら傷一つ受けていない。

肉体に触れる寸前で食い止めていた。

不可視の障壁。

幽霊時代からの、小岩井の得意とする能力だ。

この中庭には、先程まで二人いた。

メアリアンと小岩井。

しかし、もうここにいるのは『人』ではない。

メアリアンは闇に生きる魔物。

小岩井は。

「メアリアン・コリックを、生者の世界で力を振るう『悪しき存在』と認定…強制的に在るべき世界へと送り返す権限を行使します」

死神として、その力を行使しようとしていた。