全校生徒が集まり、教員が集まり、始業式が開始される。

教頭の挨拶、生徒会長の挨拶を、時に雑談混じりに、時に体育教師の一喝で静まり返ったりしながら聞く生徒達。

長い話が終わった所で。

「そ…それでは今学期より天神学園に赴任された教員、職員の方をご紹介します…」

生徒達の注目を浴びてガチガチになった古文教師、京極 鞠子（きょうごく まりこ）がマイクに向かって言った。

その声に促されて、三名の男女が壇上に上がる。

「ま、まずは天神学園敷地内の桜の手入れ及び植樹を担当して下さいます、庭師の佐倉 花王（さくら かおう）さん」

鞠子に紹介され、花王は一歩前に出る。

桜模様の着流しを着用した20代後半の男性。

粋でイナセな雰囲気は、どことなくヤンブラコン兄を彷彿とさせる。

「佐倉 花王だ。まぁお前ら生徒とはそんなに接する事もねぇだろうが、ま、よろしく頼まぁ」

よく通る声で、しかし軽妙な口調で、花王は挨拶した。